「ちゃんと産んであげられなくてごめんね」若き母が難病「魚鱗癬」で苦しむ我が子との面会で現実と向き合った瞬間
難病を持つ我が子を愛する苦悩と歓び(10)
◆どんな姿でも、私の子。ちゃんと向き合おう
我が子との2回目の面会。
この日は2日ぶりに、コンタクトレンズをつけた。
そう、まだ私は現実を見たくなかった。
産後2日間、ずっとぼやけた世界に逃げていた。
でも今日は何もかもがクッキリと見える。
夫の目の下のひどいクマも、いつもより剃り残しの多いアゴヒゲも。
そうだ、苦しいのは私だけじゃない。しっかりと現実を見なければ。
そう思えた理由は2つ。根っからの子ども好きで、
「産まれたら〜」
「大きくなったら〜」と、色んな理想を語っていた夫とのやりとりを思い出したから。
私と同様、辛いだろうに・・・。
それでも「僕がしっかりしなくては」と辛く苦しい想いをねじ伏せ、頑張ってくれているのがすごく伝わるから。
さらに、傷心する私に、私の母は毅然とした面持ちで、
「どんな姿でも、可愛い孫にかわりはない」
と言ってくれたからだ。
その言葉は私の胸に、とても鋭く、深く、突き刺さった。
どんな姿でも、私の子。
ちゃんと見よう。
お腹の中にいた時のように、話しかけてあげよう。
頑張って生きようとしている息子に、名前を呼びかけよう。
夫と図書館で本を借りて、たくさん調べて決めた名前、
『陽』(よう)と。
そう決意して、NICUのドアを開いた。
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KEYWORDS:
産まれてすぐピエロと呼ばれた息子
ピエロの母
本書で届けるのは「道化師様魚鱗癬(どうけしようぎょりんせん)」という、
50~100万人に1人の難病に立ち向かう、
親と子のありえないような本当の話です。
「少しでも多くの方に、この難病を知っていただきたい」
このような気持ちから母親は、
息子の陽(よう)君が生後6カ月の頃から慣れないブログを始め、
彼が2歳になった今、ブログの内容を一冊にまとめました。
陽君を実際に担当した主治医の証言や、
皮膚科の専門医による「魚鱗癬」についての解説も収録されています。
また出版にあたって、推薦文を乙武洋匡氏など、
障害を持つ方の著名人に執筆してもらいました。
障害の子供を持つ多くのご両親を励ます愛情の詰まった1冊です。
涙を誘う文体が感動を誘います。
ぜひ読んでください。